コンプレックスも個性になるから、メイクが好き

陶器のようにスムースな肌の上に、コンパクトなセットアップを身に纏った掘未央奈さん。「今回使ったカラーは新鮮。馴染みが良く、自分自身の血色感が引出されるようですね」と彼女がコメントしたメイクは、まぶた全体を包み込むグラデーションのアイカラーと、リッチなボリュームを感じるリップグロスが目を惹く。その唇から発せられるのは、誰かの受け売りではなく飾らず素直な自分の言葉だった。「グループに所属していた時代からセルフでメイクをしていたので、自分の顔とは徹底的に向き合ってきました。コンプレックスはたくさんありますよ。でも今はコンプレックスがあるからこそ、メイクのしがいがあって楽しいと思える。自分の個性をベースに、使うアイテムや使い方を変えて日によって違う“私”と出会う感覚です」

飾らない、ありのままの自分自身にかけてみたい

撮影時のベースメイクは、彼女自身のフレッシュな素肌を生かしてクッションファンデーションを部分的に使用したのみ。必要以上に隠さず飾らないメイクは、乃木坂46時代にセンターに抜擢され、先輩たちの中で奮闘して辿り着いた「自分というものを貫く」という彼女のスタンスとも共通する。「先輩たちと同じことをしていても追いつけるわけないなと思っていました。だったら、例えどんなに『変わってるね』『アイドルっぽくない』と言われても素の自分で舞台に立ち続けてみようと決めたんです。自分の人生ですから、自分で責任をとらないといけない。せっかく岐阜から出てきたんだから、ありのままの姿で挑戦してみたい。その思いで続けてきたらだんだんと応援してくれる人が増えていきました。本当ならキャラを作って表に出た方が傷つかないし、自信があったわけじゃない。でも頑固なくらいこだわってきて良かったと思っています」

いつも壁にぶつかるところから、スタートしてきた

約8年間活動した乃木坂46を2021年3月に卒業。ソロになって1年、俳優・タレントとして精力的に活動を続けてきた。暖色のアイカラーが包み込むまぶたの奥の瞳は、まっすぐと前を見据えている。「乃木坂46では初選抜曲でセンターに抜擢、アイドルとしての活動に慣れてきたなと思った頃に、映画に出演する機会をいただいて……。私、いつも壁にぶつかるところからスタートするみたいです。でもそのおかげで成長してきたし、これからも新鮮な経験を積み重ねていきたい。この仕事を始めるまでは目立つのも嫌いで臆病だったし、今でも落ち込むときもあるけれど、ネガティブなままでは自分にとっても周りにとっても良いことがないと気がついたんです。自分自身がしっかり立って、周りの人々をポジティブな循環に巻き込んでいきたいです」

自分って、意外と強いのかもしれない

忙しい日々を送っているにも関わらず、終始明るく生き生きとした表情でインタビューに受け答えてくれた堀さん。YouTubeのメイク動画では素顔も披露している彼女に、その健やかな美しさの秘訣を尋ねてみた。「健康に対してマニアックな家族のおかげでしょうか。特に姉は美容に詳しいので、いろいろと情報交換しています。敏感肌なので刺激の少ないものを選んだり、季節によって使うアイテムを変えてみたり……。10代の頃は知らないうちにストレスを溜めていたけれど、今は人との付き合い方も見直して休日の過ごし方を変えてみるなど、自分で意識してストレス発散をするようにしていますね。20代になって、意外とへこたれない気持ちの強さも身についてきたように感じます。自分で自分を認められるようになってきたのかもしれません」