自由に使える時間が増えて自分の感性も広がった

多忙なアイドル生活を送ってきた柏木さん。家で過ごす時間が増えたことで、自分の時間をどのように有意義に活用していたのだろうか。「何日も家にいるのが芸能界に入ってからは初めてでしたが、案外1人の時間も好きだと気づきました。大人数のグループで長く活動してきたので、1人でいる時間の大切さを実感してます。休日は、目的を決めずに街に出てぶらぶらするのが好き。偶然見つけたお店に入ってご飯を食べたり、電車を乗り換えて街を散策したり……。これも自分の時間ができたからこそ見つけられた新しい趣味なのかも。その一方で、気がつくと結局仕事につながるものをチェックしていることもよくあるんです。あんなに休みが欲しいと思っていたのに、いざ離れてみるとやっぱり仕事が恋しくなっているんだなと思いました」

自分の中にある軸は見逃さずに大事に育てたい

柏木さんの真摯な姿に心惹かれた人は少なくないはずだ。そんな柏木さんが惹きつけられるのは、“素の自分を見せている人”なのだそう。「周りの目を気にして自分を押し殺してしまうこともあると思うけど、それは結局自分の心の負担になってしまうだけ。裏表が少ない方がファンとの信頼にも繋がるんじゃないかなと思います。最近始めたYouTubeも、新たに自分を発信できる場所になっているのですごく楽しいです。勇気を持って少しずつ自分の思いや好きなものを発信していったら以外と共感されて、自信につながりました。いろいろ挑戦ができるようになったのはここ1年くらい。中学生の頃からAKBという特殊な世界にいましたが、外側に目を向けてみたらたくさんの人や考え方があって、世界がもっと広いことを知りました。視野を広げてからは、自分の姿も客観的に見ることができて心に余裕も生まれましたね」

小さな自信を重ねていくことで確固たる自信に繋がる

柏木さん自身、心の扉を開けるようになるまでには時間がかかったそうだが、同じように悩む人に伝えたいことがあるという。「きっと誰でも、“好きな人、家族や親友には本当の自分を理解していて欲しい”と心のどこかで思っているんじゃないかな。それなら、隠している自分をさらけ出すのは早い方が絶対にいい。その分、心の底から分かり合える人と出会う機会も増えて人生が豊かになるはずだから」
1つの道を極め、夢を叶えた柏木さんが大切にしている心得とは何なのだろう。「目標を立てすぎないようにしています。“今日は片付けをちゃんとやる”とか“明日はメイクを丁寧にやろう”というような日常の中で必ず達成できる小さいことでいいんです。すごく頑張っているのに、失敗してしまうと自分を褒めてあげられないですよね。でもそうやって小さい成功体験を積み重ねていくと自分にすごく自信が持てるようになります」

目指すのは“柏木由紀ってやっぱりアイドル”という存在

「30歳を迎え、人生の節目に入ってきた気がする」と語る柏木さんが次のステージとして見据える未来とは。「私が思う理想のアイドル像は、“応援していて元気をもらえる、笑顔になれる存在”。何十年経っても、例えば結婚して子供を産んだとしても、変わらずにアイドルとして誰かの支えになれたらいいなと思っています。30歳を超えてもなおアイドルとして輝き続けている人って、男性だとたくさんいるのに女性だとあまり聞かないですよね。だからこそ、“女性アイドルの概念を変える”というと大袈裟かもしれないけど、私がその道の先駆者になれたらいいな。女優やタレントと違って、ファンとの距離が近いのがアイドル。私たちはファンがいてこそ成り立つ存在なので、その感覚はずっと忘れずにこれからも邁進していきたいです」